泉川病院 腎臓内科医師 前川明洋 著
南島原市広報「南島原」2018年10月号掲載分
CKDとは、増加する透析患者数を抑制する目的で、2002年に国際的に定義された疾患です。
●CKDの定義
以下の①、②のいずれか、または両方が3カ月以上持続することをいいます。
①尿検査、画像検査、血液検査、病理などで腎障害の存在が明らか(特に蛋白尿の存在が重要)。
②GFR(糸球体ろ過量)が60㎖/分/1.73㎡未満である(簡易的には腎機能が100点満点中で60点未満という意味でよいと思います)。
●例えば以下のような場合はすべてCKDとなります。
①学校健診で蛋白尿を指摘され、3カ月後のカ月後の検査でも再度尿蛋白陽性であった。
②職場健診の血液検査でGFR37㎖/分/1.73㎡であった。3カ月後の再検査ではGFR33㎖/分/1.73㎡であった。
③がん検診で腹部エコーをしたところ、本来2つあるはずの腎臓が生まれつき1つしかないことが分かった。
このような場合でも、自覚症状はほとんどないため、検査をしてみないとCKDかどうかを見つけることは難しいです。また、現在は腎機能が正常でも、定期的に腎機能を診ていく必要があります。
腎臓関連の検査に以下のようなものがあります。
●血液検査:クレアチニン(Cr)、eGFR、尿素窒素(BUN)の 測定
●尿検査:蛋白尿、血尿の測定
●画像検査:超音波やCTで腎臓の形などの評価
なかでも簡単に検査ができる尿検査は、腎臓の予後(将来透析になるかどうか)の予測ができるほか、生命予後(将来の寿命)とも関わってくることが分かってきており、以前より尿検査が重要視されるようになりました。
また、これらの検査で異常がある場合でも、さらに詳しい検査を行うと、治療可能な腎臓病であることもあるため、必要に応じて腎臓内科での受診をお勧めします。 ただし、かかりつけの病院がある場合、まずは主治医へ相談をしてください。現在の自分の腎臓の状態を知るために、年に1度は健診を受けましょう。