「メタボリックシンドロームと血管を傷つけるリスクの重なり」について

泉川病院 院長 泉川卓也

泉川病院 院長 泉川卓也 著
南島原市広報「南島原」2019年10月号掲載分

メタボリックシンドロームとは、別名「内臓脂肪症候群」といい、内臓脂肪が多くおなかがぽっこり出た肥満タイプの人が、「高血圧」「高血糖」「脂質異常症」などの危険因子をあわせ持っている「状態」のことです。これらの危険因子を合併すると、動脈硬化を飛躍的に進行させます。その結果、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる病気になったり、その後遺症で不自由な生活を強いられる危険性が出てきます。
生活習慣病の代表ともいえる高血圧や脂質異常症、糖尿病などの発症、悪化には、「内臓脂肪」が強く影響しています。内臓脂肪の細胞からは、高血圧、糖尿病、動脈硬化のリスクを高める物質が複数分泌されています。このため、内臓脂肪が多すぎることが問題になるのです。
動脈硬化とは、動脈内に脂質がたまったり、血管の壁が傷つき、傷ついたところに血の固まりができたり、動脈の壁の弾力がなくなりボロボロになる現象です。動脈が狭くなることで血液の流れを妨げ、血管が詰まることで、重大な病気を引き起こします。

図2

 これらの「動脈硬化性疾患」は、死因の上位を占めます。「メタボリックシンドローム ⇒ 動脈硬化」の連鎖を切らないといけません。 

いろいろな病気をあわせ持つ人が多い
肥満と診断された人とその他の危険因子と言われる糖尿病・高血圧症・脂質異常症と診断される人の割合 

図3

危険因子が多くなれば多くなるほど、心血管疾患、 脳卒中を発症する率が高くなる
注意すべき点は上記の危険因子のひとつひとつは、「ごく軽度」といわれる程度のものであるということです。これらは重なることで互いに影響しあい、飛躍的に動脈硬化を進展させます。危険因子がごく軽度のうちは、運動・食事・禁煙などによって改善することが可能です。

図4

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