泉川病院 院長 泉川卓也 著
南島原市広報「南島原」2019年9月号掲載分
・メタボリックシンドロームとは
日常生活において運動不足や食べ過ぎなどで 生活習慣が乱れること によって、内臓脂肪が増加し、その結果、生活習慣病(高血圧症・糖尿病・脂質異常症)、血管の病気(動脈硬化)になりやすくなる状態をいいます。動脈硬化の進行により、日本人の死因で多い急性心筋梗塞・脳卒中などの血管性病変を発症するリスクが高まります。メタボリックシンドロームは、こうした重篤な病気の予備群を早期段階で発見・治療したり、予防するために付けられた病名です。適切な治療介入により、動脈硬化・心血管病の予防につながります。
・腹囲を測って何を見てる?
腹囲の測定は、体の中、内臓周りの脂肪量を予測しています。測定は「へそ周り」を頂点として行われ、男性は85cm以上、女性は90cm以上になると「内臓脂肪過多」と判定されます。
・内臓脂肪と皮下脂肪の違い
正常な日常生活を行う上で脂肪は健康維持のために大切であり、適度な体脂肪は必要です。
体脂肪には、「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の2種類があり、違った性質を持っています。内臓脂肪は、日常生活に使うエネルギーを簡単かつ速やかに出し入れできる普通預金。皮下脂肪は、長期的にエネルギーを備える定期預金にたとえることができます。
・内臓脂肪から出る生理活性物質の働きについて
内臓脂肪として蓄積される脂肪組織は余ったエネルギーを貯蔵します。しかし、脂肪組織の役割はそれだけでなく、生体維持にかかわる生理活性物質(アディポサイトカイン)を合成・分泌し、血液中の糖質・脂質・血圧のコントロールなどに大きな影響を与えます。内臓脂肪が必要以上に増えると生理活性物質の分泌に異変が起こり以下のような悪影響が出てきます。
☆インスリン抵抗性(インスリンの働きを抑える)
⇒血中の糖質が使用されず血液中に残ることで 、血糖値上昇。
☆蓄積された脂肪を分解して、再び血液中に入りやすくする。
⇒中性脂肪・コレステロール値の上昇 。
☆血圧を維持する物質の機能が低下、さらに上昇させる物質が分泌される。
⇒血圧の上昇 内蔵脂肪の影響はさまざまです。健診を受けてメタボリックシンドロームに注意しましょう。
今日から健康生活をスタートしましょう。