インスリン抵抗性

哲翁病院 副院長

哲翁 和博

 膵臓がインスリンを分泌していても、肝臓や筋肉、脂肪細胞などでインスリンが正常に働かなくなった状態を「インスリン抵抗性」といっています。

 インスリン抵抗性は、遺伝、過食による肥満、運動不足およびストレスなどにより起こりますが、肥満、特に内臓脂肪の増加が一番の要因です。肥満でインスリンの効果が弱くなるので、さらに多くのインスリン分泌が必要となり、インスリンが多ければさらに肥満になるという悪循環をおこしてしまいます。そうなると膵臓が疲れきってしまい、高血糖状態が持続し糖尿病の発病につながります。

 肥満になると、肥大化した大型脂肪細胞からさまざまな悪玉の生活理活性物質が分泌され、血圧や血糖値を上げたり、中性脂肪を増やしたり、血栓をできやすくすることで、確実に脳梗塞や心筋梗塞の発症を増やします。
 インスリン抵抗性は、肥満、高血圧、高血糖、中性脂肪高値、HDL(善玉)コレステロール低値の人に多くみられます。これらの病気を合わせ持った状態が、メタボリック症候群と呼ばれています。

 特定健診は、まさにこのメタボリック症候群に照準を合わせているのです。どうぞ皆さん、検診を受けましょう。

 

広報 「南島原」2014年10月号掲載

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