池田循環器科内科 院長 池田重成 著
南島原市広報「南島原」2013年10月号掲載分
前回、ここ50年間の間に内臓脂肪型肥満が増加したため、メタボリック症候群の人が増えてきたとお話ししましたが、内臓脂肪細胞の働きに関する研究もここ数十年の間に飛躍的に進んできました。
以前は、大きくなった内臓脂肪細胞は、エネルギーを蓄積する働きが主体と考えられていましたが、最近の研究でエネルギーを蓄積する以外にさまざまなホルモン様物質を合成、分泌する特異な組織であることが分かってきました。
肥満により内臓脂肪細胞が大きくなり、善玉ホルモン様物質(血糖を低下させる物質)の合成、分泌が減少する一方、悪玉ホルモン様物質(血圧を上昇させる物質、血中の中性脂肪を上昇させる物質、血管の内皮機能を低下させ動脈硬化を進行させる物質)の合成、分泌が増加します。
従って食生活を改善し定期的に適度な運動を行えば、内臓脂肪細胞を小さくすることができ、血糖や血圧、血中の中性脂肪が低下し、動脈硬化性疾患(急性心筋梗塞、脳卒中)の予防につながります。