
南高医師会副会長
池田 重成
前回、ここ50年間のあいだに内臓脂肪型肥満が増加したため、メタボリック症候群の人が増えてきたと述べましたが、内臓脂肪細胞の働きに関する研究もここ数十年のあいだに飛躍的に進んできました。
以前は肥大した内臓脂肪細胞はエネルギーを蓄積する働きが主体と考えられていましたが、最近の研究でエネルギーを蓄積する以外に様々なホルモン様物質を合成、分泌する特異な組織であることがわかってきました。
肥満により内臓脂肪細胞が肥大し、善玉ホルモン様物質(血糖を低下させる物質)の合成、分泌が減少する一方、悪玉ホルモン様物質(血圧を上昇させる物質、血中の中性脂肪を上昇させる物質、血管の内皮機能を低下させ動脈硬化を進行させる物質)の合成、分泌が増加します。
従って食生活を改善し定期的に適度な運動を行えば、内臓脂肪細胞を小型化することができ、血糖や血圧、血中の中性脂肪が低下し、動脈硬化性疾患(急性心筋梗塞、脳卒中)に罹患することを予防できることになります。
広報「南島原」2013年12月号掲載